大企業の技術職って実際どうなの?
こんな人のための記事です。
私が勤める会社は従業員約30000人の、いわゆる大企業のメーカーです。
私は大学院卒で入社して現在7年目です。
「大企業 技術職」で調べると、
・つまらない
・やめとけ
なんていう記事が出ますが、実際どうなのか気になりますよね。
今回は、大企業の技術職への就職を考えている方に向けて、実際に働いて感じていることをご紹介します。
最後まで見ていただくと以下のことが分かります。
結果だけ知りたい方は、最後のまとめをどうぞ!
大企業の定義
大企業の明確な定義はありません。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」では、常用労働者の人数で企業規模を区分しています。
この調査では、常用労働者の人数が1,000人以上の企業を「大企業」、100~999人の企業を「中企業」、10~99人の企業を「小企業」に区分しています。
大企業で働いて感じるメリット
扱うプロジェクトの規模が大きい
大企業はプロジェクトの規模が大きい傾向にあります。
私が勤める会社の場合、1つの案件の売り上げが数十億、数百憶ということはざらです。
これほど大きいお金が動くプロジェクトに関われることは、大企業で働く大きなメリットです。
自分が関わったプロジェクトが完了し、新聞に載って数百憶円が入金されたときはうれしかった♪
福利厚生が手厚い
大企業は福利厚生が手厚い傾向があります。
以下は私の会社の場合ですが、大企業に入社した友人達に聞いても大体同じようです。
・寮 / 借上げ社宅完備
・長期休暇が長い(GWや夏季連休、年末年始は10連休)
・数か月の育児休暇の取得が推奨されている
・外部の福利厚生サイトを使用して年6万円の書籍やおむつなどを購入可能
・結婚/出産で祝い金をもらえる
リモートでの勤務も大企業の方が進んでいます。
IT関連の人員を社内で確保できますし、セキュリティの高いネットワークをお金をかけて構築できるためです。
給料が良い
中小企業に比べ、大企業の方が給料が良い傾向にあります。
以下は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に基づく、企業規模ごとの平均賃金です。
25~29歳男性を見ると
・大企業 → 270万円
・中企業 → 244万円
・小企業 → 241万円
と企業規模が大きくなるほど給料が多くなります。
私も30歳で年収約600万円。
平均以上にはもらえていると思います。
優秀でまじめな人が多い
仕事に対して誠実であり、基本的な業務能力が高い人が多いです。
ここでいう業務能力とは、コミュニケーション能力や論理的思考力、スケジュール管理能力のことです。
論理的に話せないとか、会話がかみ合わないとか、そういう面でのストレスは少ないと思います。
残業規制があるので過度な残業はない
管理職になるまでは労働組合に所属しており、法律で定められた残業時間の規制があるので過度な残業はありません。
いわゆる36協定により、月45時間・年360時間以上の残業はできません。
大企業ほど社会の監視の目が厳しいので、残業管理は徹底しています。
私の会社もPCのログで残業管理がされていて、月45時間を超えそうになると上司から注意されます。
大企業で働いて感じるデメリット
技術力が上がりづらい
大企業で働く最大のデメリットは技術力がつきづらいということです。
CADで図面を書いたり、プログラミングをしたり、ということは基本的に外注や派遣の方にお任せするため、これらの能力がつきづらいです。
大企業の技術職は、CADで何を書いてもらうか、どういうプログラムを作ってもらうか、という上流設計が主な仕事になります。
しかし、詳細な仕様を理解しないまま丸投げすることも多く、技術力は上がりづらいと思います。
40代、50代になってから、仮に会社がなくなったときに良い転職先があるかというと微妙だと思います。
技術職としてのスキルが身につきづらいことは致命的・・・
ルールが多い
コンプライアンス順守のための社内規定が多く、書類作業や社内システムへの登録作業が非常に多いです。
例えば私の会社の場合、プロジェクトで問題が発生した際に、再発防止のために社内システムに入力する必要があります。
入力用の文章を考えたり、上司や他部署に確認したりする時間がかかり面倒。。
また、システムが形骸化していてせっかく入力しても誰も見ていません。
「何のためにこれをやっているんだ?」という作業が非常に多いです。
残業をしたくてもできない
メリットに過度な残業はないと書きましたが、裏を返せば、残業をしたくてもできないということです。
仕事の量は変わらないので、クオリティの低い状態で作業を完了させたり、よく理解しないまま外注に出したりということが発生します。
それが嫌なので、PCのログを残さないでこっそり残業している人もちらほら・・・
結局サービス残業している人もいるというのが実態です。
優秀な人が多く、出世は大変
大企業は人が多いので出世が大変です。
地頭力やコミュニケーションスキルが優れた優秀な人が多く、競争が苛烈です。
“大企業は年功序列”という風向きも最近変わっていて、仕事の出来不出来がちゃんと評価されるようになっています。
管理職は猛烈なスピードで仕事をこなすハイスペックばかり。
大人数の中から選ばれた精鋭なので当然ですね。
社内調整が大変
「他部署は違う会社か?」というくらい縦割り意識が強く、社内調整が大変です。
他部署が関係する書類については、判子リレーが完了するまでに1か月かかることもあります。
途中でコメントが出れば判子リレーを最初からもう一度、なんてことも。。
押印簡素化も進んでいますが、他部署が絡んだときのスピードの遅さは異常です
大企業で働いて、結局どうなのか
大企業で働くことの私の率直な意見は、「お金は悪くないが、将来を考えると若いうちは微妙」です。
福利厚生のサポートを含め、金銭面のメリットは大きいと思います。
仕事も大変ですが、身を削るほど働いているかというとそんなことはありません。
ほどほど働いて、平均以上のお金をもらえています。
また、海外出張に何回も行かせてもらえたり、新聞の一面に載るようなプロジェクトに参加したりなど、大企業でしかできない経験をしています。
一方で、将来を考えると技術力がつかないので微妙だと思います。
手を動かすよりは、下請け企業などを動かして管理するのがメインになります。
私が勤める企業は”ものづくり企業”を自称していますが、”ものつくらせ企業”が正しい表現だと思います。
どこでも通用するスキルを身に着けたいという人は、若いうちは大企業が避けた方が良いと思います。
大企業をおすすめする人/おすすめしない人
まとめ
今回は大企業で働くメリット/デメリットについて紹介しました。
「社内だけでなく、業界内で一目を置かれる存在になりたい!」という方は大企業はやめた方が良いと思います。
中小企業に比べると1人で抱える業務の幅が狭く、手を動かす作業もしづらいからです。
特に20代で身に着けられる技術的なスキルの量は、中小企業と大きく差があると思います。
一方で「若いうちにお金を貯めておきたい」という方には大企業はおすすめです。
金融資産への投資は早く始めるほど複利が効くので有利です。
早く投資を始めて、ひと財産を築いて逃げ切りたい(少々乱暴な表現かもしれません)という方は、大企業への就職はよい選択肢になると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!