経済評論家で、元楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元(やまざき・はじめ)さんが1月1日、食道がんで亡くなられました。
65歳でした。
楽天証券経済研究所客員研究員という金融商品を売る立場の一員でありながら、「99%の投資信託はゴミ」など、自身が正しいと感じることを遠慮なくズバズバと発信される姿はとてもかっこよかったです。
私も山崎さんの著書やweb記事を非常に参考にしています。
特に、山崎さんと個人投資家 水瀬ケンイチさんの共著である、『ほったらかし投資術』は日本の個人投資家のバイブルといってもいいでしょう。
今回は、楽天証券が運営するメディア「トウシル」で山崎さんが書かれた記事の中でおすすめのものをご紹介します。
山崎元さんとは
(1)正しくて、(2)出来れば面白いことを、(3)なるべく多くの人に伝えられるように をモットーとする 経済評論家。
1958年 北海道生まれ。
東京大学を卒業後、三菱商事に就職。
以後、12回の転職(三菱商事→野村投信→住友生命→住友信託→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研)を経て、2005年~2023年3月まで楽天証券経済研究所客員研究員を務める。
2022年8月に食道がんを告知され闘病していましたが、2024年1月1日、東京都内の自宅で亡くなられました。
トウシル オススメ記事
① 「搾取」から逃れる「働き方」と「資産運用」
「株式投資のリターンの源泉はどこにあるのだろう。誰が、株式のリターンを供給してくれているのか?」
この疑問を説明してくれる記事です。
この問いに対する答えは 「リスクを嫌う人が安く働くこと」です。
すなわち多くの会社員がリスクを嫌って安定した収入を得る代わりに、 リスクを取っている資本家に搾取されているから株式投資はリターンが得られるということ。
このような状況でどのようにすれば搾取から逃れることが出来るかも合わせて説明されています。
すべての会社員に読んで欲しい記事です。
② 一コマで、一生役立つマネーリテラシー講座
山崎さんが大学で行った授業の内容が紹介されています。
お金の選択において「ダメなもの3つ」と「良いもの1つ」のみに要点を絞った説明で、かなり分かりやすいです。
大学生や20代のうちなど、若いうちに本記事の内容を知っておけば、お金での失敗を避けられると思います。
③ 運用というゲームの「最も簡単な説明」
インデックスファンドがアクティブファンドよりも有利である理由を、 2つの会社だけが上場している株式市場を想定して説明している記事です。
この記事を読むと、アクティブ運用をする人は 「知恵の薄いギャンブラー」だと分かります。
④ 資本主義の始まり・終わりとAIに関する試論
「世界の終わりと、資本主義の終わりはどちらが早いか、同時なのか?」、 「AIの進歩は、資本主義を進めるのか、終わらせるのか?」というテーマの記事。
興味深いのは後者の「AIと資本主義の話」です。
資本主義の継続には、リスクを恐れて労働力を安売りする労働者が必要です。
一方、AIはリスクを恐れない。
AIに判断を任せた労働者が労働力の安売りをやめたら資本主義社会はどうなるのか。
やや学問チックで難解にみえるテーマですが、将棋を用いた例えを使って非常に分かりやすく説明してくれます。
⑤ 私の「投資観」の変遷について
いまでこそ、”投資するリスク資産は全世界株のインデックスファンド一本でよい”という考えの 山崎さん。
しかし、そこに至るまでには12回の転職での様々な経験がありました。
投資に対する山崎さんの考えがどのように変わってきたか、どのような出来事があって投資観が変わったのかが 分かる記事です。
一種の自叙伝のような内容にもなっているので、 山崎さんの経歴に興味がある方にもおすすめ。
まとめ
山崎さんの記事を読んだときに感じることは、山崎さんはいつでも個人投資家の心強い味方だということです。
個人投資家を食い物にするいびつなシステムに対して、いつも憤りを感じていたように思います。
ご自身が金融業界で働いていたからこそ、そのいびつさを誰よりも感じていたのだと思います。
一方で我々個人投資家に対しても、自分の頭で考えることの重要性を説いていました。
「宙船(そらふね)」という中島みゆきさんの有名な歌の歌詞に 「お前が消えて喜ぶ者に お前のオールをまかせるな」という一節があります。
まさにこの精神を個人投資家は身に着ける必要があります。
山崎さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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