米国株と全世界株どちらを買うのが正解なんだろ?
こんな方のための記事です。
インデックス投資の投資先の最適解として米国株と全世界株があげられます。
・全世界株:世界中の企業に分散投資できるインデックスファンド
→eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなど
・米国株:アメリカの企業に分散投資できるインデックファンド
→eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンドなど
個人投資家の投票でその年のおすすめファンドを決める「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」でも、
・米国株式インデックスファンド→3位、8位 (青枠)
・全世界株式インデックスファンド→1位、4位 (赤枠)
にランクインしました。
ではどちらを買えばよいのでしょうか。
今回は米国株式派の意見、全世界株式派の意見をご紹介したあと、投資初心者へのアドバイスをご紹介します。
結果だけ知りたい方は、最後のまとめをどうぞ!
米国株式派の意見
まずは米国株式派の意見!
過去18年で全世界株に勝利
過去18年の全世界株(MSCI ACWI)と米国株(S&P500)の比較はこちら。
2004年12月に買った場合に、いま何倍になっているかを示しています。
ドル→円に直して計算して比較しています。
18年前に勝って放置していた場合、全世界株は2.7倍、S&P500は4.1倍になっています。
ここ直近のパフォーマンスを比較すると米国株に軍配が上がります。
人口増加が続き経済成長が期待できる
G7の今後の人口予想は以下のとおり。
今後も大きく人口が伸び続けるのはアメリカのみです。
人口が伸びれば当然、経済は拡大するので株価は伸びていくことが予想されます。
法整備がきちんとしている
エンロン事件やワールドコム事件など、数々の不正会計事件を乗り越えてきて、会社が不正出来ないような法整備が整っています。
また、アメリカは民主主義国家です。
おととし、中国政府が学習塾禁止令を出したことで、中国国内の教育関連企業が大打撃を受けました。
そのような国のトップの一声で株式市場が大きな影響を受ける国への投資はリスクが大きいです。
政治リスクが他国よりは小さく、投資家保護の法整備が整っていることは米国株投資のメリットです。
国際的な大企業が多数
世界の企業の時価総額ランキングがこちら。
TOP10のうち9社がアメリカ企業です。
世界で活躍する超優秀な企業がアメリカに集中しているため、アメリカへの投資は合理的と考えられます。
他の国が入る全世界株式はアメリカの足を引っ張るだけかもしれません。
全世界株式派の意見
次は全世界株式派の意見!
アメリカ最強が続く保証はない
全世界株式における国別の割合推移は以下のとおり。
現在のアメリカの割合は約60%ですが、100年前はわずか15%。
また、30年前の日本でのバブル全盛のときはアメリカの割合は約25%でした。
アメリカ一強の時代がずっと続いていたわけではありません。
ちなみに1989年当時の時価総額ランキングでは日本企業がトップを席巻していました。
過去の推移から見ても、世界をけん引する国は変わり続けており、今後もアメリカ最強が続く保証はありません。
究極のほったらかし投資
株式市場全体の成長に賭けることで、個別銘柄の選定が不要となるのがインデックス投資のメリットです。
全世界株への投資は銘柄どころか、どこの国に投資するかも選ぶことなく世界の成長に賭けることを意味します。
全世界株ファンドを購入して放置しておくことは、究極のほったらかし投資といえます。
それぞれの国の浮き沈みはあるだろうけど世界全体でみれば経済成長するはず。
だから全世界株に投資しておけばOK、というストーリーは非常に納得しやすいです。
多くの日本人にとって最適解となる投資術が書かれている良著『ほったらかし投資術』でも、全世界株ファンドへの投資が推奨されています。
投資額の決め方なども書かれており、万人にお勧めできる良著なので気になる方はぜひ一読を!
投資初心者へのアドバイス
米国株式派、全世界株式派の意見を踏まえて、投資初心者の方へのアドバイスをお伝えします。
どちらを買っても大外れはない
現在の全世界株式ファンドの投資割合TOP10は以下のとおりで、アメリカが上位を独占しています。
国ごとの投資比率は以下のとおりで、約60%がアメリカです。
現時点では全世界株に投資しても、大部分をアメリカに投資していることになります。
では今後のアメリカはどうなるのか?
これは誰にもわかりません。
アメリカ一強が続く可能性も、他の国が台頭する可能性もあります。
ただし、アメリカも全世界も、今後も成長していくことは可能性が高そうです。
優劣はあれ、どちらに投資してもリターンを生むことは期待できるので、どちらを買っても大外れは無いと考えられます。
投資をしないことと、ガチャガチャと売り買いをすることが一番ダメ
結局どうすればいいの?
どっちに投資すればよいかやっぱり決めきれないという方は、両方同じ額を買うことをおすすめします。
投資においてやってはいけないことは
・ガチャガチャと売り買いをすること
・投資を始めないこと
です。
もしもS&P500を買ったとして、アメリカ株の調子が悪いからやっぱり全世界株に切り替える。
アメリカ株の調子が戻ったらもう一回S&P500に切り替える。
これをすると売却手数料がかさんで、リターンを悪化させます。
また、どっちを買えばよいか分からないからいつまでも投資を始めないと、得られるはずだったリターンを得られません。
株式投資はできるだけ早く株式を購入して長く市場に居続けることが、リターンを得るうえで最も重要になります。
どちらかに決めてあとで後悔するくらいなら、両方同じ額を購入したほうが心おだやかに投資を継続できると思います。
最高のリターンを得ることではなく、投資を出来るだけ長く継続することを心掛けましょう!
余談:途上国に投資するのはどうか?
アメリカなどの先進国ではなく、途上国に投資するのはどうなの?
今後成長が見込める途上国に投資するという考えもあります。
以下は1900~2017年の途上国(黄)と先進国(青)のリターン比較です。
先進国の圧勝という結果に!
確かに経済成長すれば株価は伸びていきますが、期待が高い分だけ株価は割高になるため、必ずしもリターンが優れるというわけではありません。
今後も途上国のリターンが劣るかどうかはわかりませんが、私は途上国のみへの投資はしません。
成長する国の株式リターンが必ずしも優れるわけではないことは、株式投資の権威であるジェレミー・シーゲル氏が “成長の罠“という言葉で説明しています。
少し読みづらいですが、シーゲル氏の名著『株式投資の未来』は投資初心者から中級者になるため、一読をおすすめします。
まとめ
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今回は全世界株式とS&P500のどっちを買えばよいのかについて紹介しました。
投資初心者が迷う「全世界株か?米国株か?」についてご説明しました。
いずれも今後の高いリターンが期待でき、どちらを買っても大きく失敗することはなさそうです。
どちらを買うか迷う方は、両方を同額で買うことをおすすめします。
“どちらを買うかどうか”よりは“投資をしているかどうか”の方が100倍重要です。
まずは少額でよいので投資をスタートさせ、勉強しながら自分なりの投資方針を決めることをおすすめします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!