熱い、熱すぎる。
今回ご紹介する#シンFIRE論を読んで感じたことはこれでした。
FIREというのは、「Financial Independence Retire Early(ファイナンシャル・インディペンデンス・リタイア・アーリー)」の頭文字を取った言葉です。
FIが「経済的自立」、REが「早期リタイア」を指しており、株式・不動産などの資産を貯えて若年期でのリタイアを目指すことです。
著者の穂高氏は30歳でFIREを達成した日本のFIREムーブメントの第一人者。
私は、穂高氏がFIREを達成する前からブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」は愛読していました。
前著の『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』も既読です。
そんな穂高氏の約3年ぶりの2作目ということで本作を楽しみにしておりましたが、 完読しての感想は「熱い、熱すぎる」でした。
何に対しての熱量かというと、「どうでもいいやと思考放棄し閉塞感が漂う日本・日本人を本気でどうにかしたい」という熱量です。
タイトルに「FIRE」という言葉が入っていますが、本書はどうしたらFIREを達成できるかというハウツー本ではありません。
自由に生きるためのツールとしてFIREという選択肢があると述べているだけで、 メインテーマは「実りある人生を1秒でも長く歩むために、いかに自分の人生や日々の生活を主体的に考えるか」です。
・漫然と生きていないか?
・自分の頭で考えているか?
この質問に明確に答えられないのであれば、この本を読む価値は必ずあります。
この記事では本の概要と私が感じたことをご紹介します。
本ブログ記事を公開したところ、著者の穂高氏からメッセージをいただきました。
こんなにうれしいことはありません!!
結果だけ知りたい方は、最後のまとめをどうぞ!
著者プロフィール
・書籍名:経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法#シンFIRE論
・著者:穂高唯希
・出版月:2023/2/25
・出版社:KADOKAWA
本の概要
本書の目次は以下のとおり
FIRE達成のためのハウツーはCOULMNにサブ的に記載されているのみです。
メインテーマは、”「主体性」を磨くためにどのような思考法を身に着ければよいか”です。
それぞれの章の中で、主体性を磨くためには具体的にどのようなアクションが必要かを “修練”として説明しています。
“修練”という言葉の選び方(笑)。
穂高氏イズム全開です。
以下について、思考を止めていないかと読者に訴えます。
情報 : 本当に正しく、必要な情報か?
欲しいもの : 企業に選ばされていないか?
働き方 : 会社に飼いならされていないか
生き方 : 目的無く漫然と生きていないか
常識 : 普通とは何か?常識とは何か?
修練の中で私が特に気になったものを3つ記載します。
修練① 喜怒哀楽を言語化
今日1日を思い返して、良かった点・反省点を言語化することで、自分の価値観を見つめなおすというものです。
例えば腹が立った時にどういうことがあると怒りがこみ上げるのかを考える。
嬉しいと思ったときにどういうことがあると心が軽やかになるのかを考える。
日々の感情に真摯に向き合うことで、傾向と対策を立てられます。
自分がやりたいこと・やりたくないことが何なのかが分かれば、人生の羅針盤になりますね。
修練② 人生で達成したい100のリスト
著者は20代前半に「人生で達成したい100のリスト」を作成し、人生の軸、決断の軸を形成しました。
例えば以下のようなものです。
100個も思いつく必要はないとのこと。
個数は重要ではなく、「自分が人生でなにをしたいのか」という価値観が詰まったリストを作ることがポイントです。
旅行・イベントだけでなく、生き様のようなものもリスト内にあります。
たとえば「周りの人が手を洗ったときにさっとハンカチを出す」など。
穂高氏らしさが垣間見えるリストです(笑)
期限がある項目もあり、これは『DIE WITH ZERO』で紹介されているタイムバケットに通ずるところがあります。
やりたいことリストやタイムバケットを作ることは、人生の軸を決めるうえで非常に重要なので作ることをおすすめします。
タイムバケットの作り方は以下でご紹介しています。
修練③ 苦手な生き物図鑑をファイリングする
著者は苦手な人がいると、なめるように人間観察をして、タイプ別に分けて頭の中の図鑑に保存していたとのこと。
苦手に感じる人とあえて接することで世界観が広がり、苦手意識を持つ人が減っていくというわけです。
苦手な人から距離をとるのではなく、自分の世界観を広げるために利用するなんてスゴすぎる。。
本書を読んで感じたこと
感じたこと① FIRE前後の価値観の変化を知ることが出来るのは貴重
世に出ている投資本・マネー本の多くは、投資で成功して資産を築いた人がそのノウハウや考え方を述べることがほとんどです。
一方で穂高氏は、FIREの達成前から情報発信を続けているので、FIRE前後での生活や価値観の変化が読者にわかります。
このように1人の人物のFIRE前後の価値観の変化を知ることが出来るのは非常に貴重だと思います。
特に金銭面で以下のように変化しています。
経済的自由を達成してお金に縛られなくなったことで、お金への関心が薄くなっていることが分かります。
そして自分の知見や専門性を生かして、人の役に立つことに主眼を置くようになっています。
人の役に立ちたいという思いの強さは本著の熱量を見れば明らかです。
前著の「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」はFIRE直後に出版されたこともあり、 FIREを目指しているときの金銭的価値観を持った状態で作った本だと思います。
内容はどちらかというとFIRE達成のハウツー本です。
一方で、本作は「主体性」をメインテーマとし、豊かに生きるための思考法について述べています。
ハウツー本の延長の方がおそらく書きやすく、売上を見込めるにも関わらず、抽象的な思考方について書いたのは、FIRE後は人の役に立ちたいと強く思っている証拠かと思います。
(前著よりも本から感じられる熱量が明らかに違います)
まさに本著で書かれているノブレスオブリージュの体現です。
(ノブレスオブリージュ:お金や能力、社会的地位がある人は、より大きな義務と責任を伴うこと)
ではFIREを目指す人は、穂高氏の価値観の変化をどう参考にすればよいでしょう?
穂高氏の価値観の変化から学ぶべきことは、FIRE後にやりたいことを考え続ける必要があるということです。
FIREを目指す人にとってはお金が最も関心がある事項だと思います。
ではFIREを達成したら?
穂高氏と同様にお金への関心は薄らぐと考えられます。
ではそのときにお金以外に興味があることが無かったら?
人生の目標を失って空虚な気持ちになるかもしれません。
「お金に縛られなくなって、それでもやりたいことは何なのか? 」
これはFIREを目指す人の永遠の宿題です。
感じたこと② 30歳でFIREするために必要なストイックさ
本書を読むと、穂高氏が異常なまでにストイックであることが嫌でも分かります。
例えば、以下のことを継続していたとのこと。
・毎日通勤で英文を1つ暗記する
・毎日職場の階まで階段で上る。
・職場で出会った人にはかならず挨拶をする
・毎日すこし違うルートで会社から帰って、新たな発見を探る
・毎日寝る前に家族と「その日感謝したいこと」と「反省点」を伝え合う。
さらに、FIRE達成するまでは給料の8割を投資に回していました。
このように鉄の意志で日々の行動を積み重ねていることが分かります。
また、継続と同様に、やったことへのフィードバックの質の高さにも驚かされます。
筋トレについて、
・プロテイン
・1日1食
・1日2食
・1日3食
・1日5食
・高たんぱく・低脂質の徹底
・軽い糖質制限
・自重トレーニングのみ
・ダンベルを加える
など、ひたすら試行錯誤し、毎日体重や筋肉量を計測して、外見の変化を観察したとのこと。
日々の鍛錬を欠かさずに行い、成果に向けてフィードバックも丁寧に行う。
言うのは簡単ですが、実践するのは非常に難しいと思います。
30歳という若さでFIREを達成するには、ここまでのストイックさが必要なのだと痛感させられました。
まとめ
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今回は『#シンFIRE論 』について紹介しました。
シンFIREというタイトルですが、本書はFIREを知らない人にこそ読んで欲しい一作です。
FIREを知り、多少なりとも目指している人は、自分の環境に疑問を持ってある程度は主体的に考えて行動していると思うからです。
日々の生活が苦しくなっているにも関わらず、何の行動も起こさずスマホを見て過ごしている。
そんな人にこそ読んで欲しい一冊です。
(そんな人はこの本を手に取るタイミングはないのかもしれませんが。。。)
本作のメインテーマは「主体性」。
このテーマをもとに日々の物事の考え方が述べられていますが、以下のような年代・年収別 初心者向け投資プランも記載されています。
・年収200万円で資産形成したい
・早期退職までの10年間で2400万円資産を増やしたい
・離婚したシングルの資金繰りと投資法
あくまでサブの扱いですが、FIREに向けてどのような投資戦略が良いかという点でも参考になるところはあります。
気になる方はぜひ、一読を!
また、「本書を読んで感じたこと①」で述べたとおり、1人の人物のFIRE前後の価値観の変化を知ることはなかなかできません。
まずは本書を読んで、著者に興味を持った方は前著を読むことをおすすめします。
「階段は資源」、「豚舎」など、多くの迷言に出会えて著者のユニークさにハマるかも?
最後まで読んでいただきありがとうございました!