お金の話って、どうしても敬遠されがちですよね。
でも、これからの時代、子どもたちにお金の知識を教えることはとても重要です。
村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』は、そんな親子の会話のきっかけになる一冊。
本書には働くことやお金との付き合い方を丁寧に教えてくれる内容が詰まっています。
結果だけ知りたい方は、最後のまとめをどうぞ!
著者プロフィール
・書籍名:いま君に伝えたいお金の話
・著者:村上 世彰
・出版月:2018/9/6
・出版社:幻冬舎
投資家。
1959年大阪府生まれ。
1983年から16年強にわたって国家公務員として通産省(現・経産省)に務める。
独立後、1999年から2006年まで投資ファンドを運営。
1.全体を通しての感想
投資の大切さを教える本かと思いきや…
投資界隈で知らない人はいない著名人、村上氏。
本書では、投資に関する内容が中心かと思いきや、「働いて稼ぐこと」や「お金との付き合い方」が大きく取り上げられており、意外性がありました。
根底にあるメッセージは、お金は単なるツールだということです。
上手に使えば幸せをつかめる一方、支配されると家族を巻き込んで破滅に至ることも。
だからこそ、小さい頃からお金について学ぶことの大切さを説いています。
小学生高学年以上向け
為替レートやGDPなどの専門用語が突然出てきたり、やや堅い表現が出てくるため、本書の対象は小学生高学年以上、子供が1人で読むなら中学生以上だと感じました。
小学生のお子さんが読む場合は、となりで親が解説してあげた方が良いと思います。
子ども向けではあるものの、大人が読んでも村上氏の生い立ちや投資哲学を知ることができ、興味深い内容となっています。
ただし、子どもにとって彼の個人的なエピソードがどれほど響くかは少し疑問が残りました。
2.印象的なポイント
好きなことでお金を稼ぐ
社会に出てから40年以上働くのだから、できることなら好きなことでお金を稼ぐのが理想です。
しかし、「好きな仕事であれば稼げなくてもいい」と漠然と考えていると、生活が成り立たなくなり、結果的にお金に縛られることになります。
どんな仕事を選ぶ場合でも、その仕事でどの程度の収入が見込めるのか、生活に支障がないかをしっかりと考えることが重要です。
また、「これで稼いでいく」と決められないうちは勉強を頑張るほうがよいと本書では述べられています。
学生時代に身に着けた幅広い知識が、いずれ自分の仕事を決めるきっかけになるからです。
借金はトランポリン
借金は便利な道具ですが、リスクも伴います。
本書では、借金を「トランポリン」に例えています。
トランポリンを使えば自力では届かない高さに飛べますが、着地に失敗すると大怪我をすることも。
この比喩は、借金の危険性とメリットをわかりやすく説明しています。
お金を借りる際には、「本当に必要か」「返済できる見込みがあるか」を慎重に考えるべきだというメッセージが伝わってきます。
特に「スマート払い」などの便利な仕組みが普及する時代だからこそ、借金の危険性について知っておく必要があります。
期待値の話
村上氏が投資で重視するのが「期待値」の考え方です。
具体例として、100円で買った株が3倍になる確率が10%、0.5倍になる確率が90%だとすると、期待値は次のように計算されます。
3×0.1 + 0.5×0.9 = 0.75
期待値が1であれば、100円はそのまま100円です。
期待値が1を下回る場合、100円よりも価値が小さくなってしまうので、その株は買わないほうが良いという判断になります。
「期待値」は高校生で学ぶ内容ではありますが、子どもが小さい頃から「期待値」という考え方を身につければ、数字で物事を考えるセンスが養われるでしょう。
まとめ:親が読んで噛み砕いて教えるべき一冊
この本は、子どもにお金の基礎を教える良いきっかけを与えてくれる内容です。
しかし、特に小学生以下の子どもには難しい部分もあるため、親が一度読んで噛み砕いて伝えるのが効果的だと思います。
中学生以上であれば、買ってそのまま渡しても理解できるかと思います。
終身雇用や年功序列といった従来のシステムが崩れつつある現代、決まったレールがなくなりつつあるので、子どもには自分でお金を稼ぐ方法を考えてもらう必要があります。
また、スマート決済や簡単に借金ができる環境が広がる中、借金のリスクを早い段階で理解させることも重要です。
下手をすると借金で人生が破滅してしまう、なんてことも考えられます。
子どもと「お金」について話し合う良い機会を与えてくれる一冊として、親にぜひ読んでほしい本です。
気になる方はぜひ一読を!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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