どのようにお金を使えば最大限に幸福になれるのかがわかる良書です。
お金は使わなければ、何の価値も生まれません。
お金を貯めることだけでなく、使い方を知ることも非常に重要です。
ぜひすべての人に読んでいただきたい一冊です。


著者プロフィール
・書籍名:「幸せをお金で買う」5つの授業
・著者:エリザベス・ダン 、マイケル・ノートン
・出版月:2014/2/22
・出版社:KADOKAWA
<エリザベス・ダン>
カナダのバンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学の心理学准教授。
心理学の分野で「新星」の1人として注目されている。
自己認識と幸福についての研究を専門とし、「ニューヨーク・タイムズ」「グローブ・アンド・メール」「ロンドン・タイムズ」をはじめ多数のメディアで取り上げられている。
また、『サイエンス』誌でも論文を発表している。
<ウィリアム・D・ダンコ>
ハーバード・ビジネススクールのマーケティング学准教授。
彼の研究は『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』誌の「イヤー・イン・アイデア」特集で取り上げられた。
TEDに登壇し、「幸せを買う方法」について講演。
この動画は150万ビューを獲得している。
2012年に、『ワイアード』誌のスマート・リストで「世界を変える50人」の1人に選ばれた。
本の目次
Prologue「幸せをお金で買う」5つの原則
Lecture1 経験を買う
Lecture2 ご褒美にする
Lecture3 時間を買う
Lecture4 先に支払って、あとで消費する
Lecture5 他人に投資する
Epilogue 視野を広げよう
総合評価
S 人生が変わる神本
A 絶対に読んで
B 時間があれば読んで
C 強いて読まなくてもいい
D 時間の無駄
『本当の自由を手に入れる お金の大学』を書いた両学長も述べていますが、お金は貯めたり、稼いだり、投資で増やしたりするよりも、使うほうが圧倒的に難しいです。
どれだけお金を持っていても、適切に使って価値を引き出さなければ、それは宝の持ち腐れです。
何にお金を使えば幸せになれるのかは細かい部分で人それぞれですが、心理学などの研究から共通するポイントが明らかになっています。
本書では、そのポイントをわかりやすく解説しています。
具体的には、以下の5つです。
- 経験を買う
- ご褒美にする
- 時間を買う
- 先に支払って、あとで消費する
- 他人に投資する
これらのポイントそれぞれについて、研究データやエピソードをもとに深掘りされています。
たとえば、「1. 経験を買う」では、物質的な買い物は時間が経つにつれて満足度が減少する傾向があることが示されています。
マイホームはその典型であり、一度買ってもすぐに慣れてしまい、人生の幸福度には大きく影響しないと述べられています。
また、「3. 時間を買う」では、通勤時間が幸福度に与える影響が紹介されています。
車での通勤時間がゼロから22分になった場合、幸福度の低下を相殺するには、収入が3分の1増える必要があるのです。
逆に言えば、家賃が収入の3分の1増えたとしても、通勤時間が22分短縮されるのであれば合理的といえます。
このように、人生におけるお金の使い方に迷ったときの「羅針盤」となるような情報が数多く詰まっています。
海外の書籍にありがちな点ではありますが、引用されるエピソードがやや冗長に感じられる箇所もあります。
「それで、何を言いたいのだろう?」と感じる場面があったのはマイナスポイントですが、全体的には分かりやすく、よく整理されています。
お金を増やすことも重要ですが、そのお金をどのように使うかを学ぶことも大切です。
(適切なお金の使い方を学べば、無駄遣いが減るため、資産形成にも有利に働きます。)
お金を効率的に使い、幸福を感じたいと思っている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
個別評価
新規性 ー 新しい情報があるか
今までに見たことがないアイデア、見方を数多く学べる
今までに見たことがないアイデアがいくつかある
今までに見たことがない情報がいくつかあるが、役には立つものは少ない
目新しい情報はほとんどない
お金をどのように使えば幸福を感じられるかを、きれいにまとめている点が新鮮です。
「モノよりも経験を買った方が良い」など、聞いたことがある内容もありますが、研究データをもとに丁寧に説明されているため、深く理解することができます。
汎用性 ー 多くの人の役に立つか
すべての人の役に立つ
多くの人の役に立つ
ある対象の人に対して役に立つ
僅かだが役に立つ人がいる
ほぼ誰の役にも立たない
お金を使うすべての人にとって役立つ内容です。
わかりやすさ ー 理解しやすい工夫があるか
普通に読めば内容を理解できる
集中して読めば内容を理解できる
何回も読まなければ内容を理解できない
意味不明
イラストはありませんが、256ページとコンパクトで、2~3時間もあれば読了できます。
幸福を感じられる5つのお金の使い方を順を追って説明してくれるため、非常にわかりやすいです。
実用性 ー 本を読んですぐに役に立つか
読んで即座に実行できるアイデアが数多くある
読んで即座に実行できるアイデアがいくつかある
即座に実行できるアイデアはないが、長期的にみれば役に立つ
確率は小さいが、人生のどこかで役に立つかもしれない
役に立たない
本書で紹介されているお金の使い方の哲学は、小さな買い物から大きな買い物まで、幅広く応用できます。
読んだその日からでも、自分のお金の使い方を見直すことで、より多くの価値を引き出すことができるでしょう。
印象に残ったポイント
歓度計
ぬるま湯に手を突っ込む。
もし極寒の冬の朝だったら、ものすごく熱く感じる。
逆に夏の午後だったら、ひんやりと感じる。
そのまま手を漬けたままにしておけば、最初の強烈な感覚はすぐに収まる。
私たちの感情も、だいたい同じように働く。
筆者はこれを「歓度計」と呼ぶ。
温度計のようにいつでも正確に値を指し示してくれるわけではない。
歓度計の特性を理解することが、幸福を感じるコツである。
大きな買い物をする時の注意点
大きな買い物をする前に、簡単な課題をやってみることをおすすめする。
それは「その買い物は、火曜日の自分にどのような影響を及ぼすのか?」を考えてみること。
(火曜日は例であり、日曜日でも水曜日でもよい)
たとえば、プール付きの家を買ったとする。
すると、プールを掃除するという仕事が発生する。
それを外注するにしても、その分の費用をまかなうために働かなくてはならない。
子どもと遊ぶためにプールを買ったのに、結果として子どもとの時間が減ってしまっては意味がない。
先に支払って、あとで消費する
今すぐ支払って、消費を先送りにすると、使ったお金に対してより多くの幸せが得られる。
「旅は出発前のほうが幸福を感じる」という研究データもある。
お金を増やすという観点から見ると、支払いを先延ばしにしたほうが合理的(お金を手放さなければ利息がつくため)。
だが、より多くの幸福を得るためにお金を使うのであれば、先払いのほうがよい。
他人への投資
少ない金額でも、他人のために使うと、私たち自身の幸福感が上がるという研究がある。
他人のためにお金を使うと、自分のために使うよりも幸福感が高まる。
他人への贈り物やチャリティーへの寄付金額が幸福度に与える影響は、収入の増加が幸福度に与える影響と同程度である。
(100万円寄付することと、100万円収入があがることは幸福度が同じ)
また、他人への投資と自分のために使う金額の、適切な比率は「1対10以上」とされている。
まとめ
どれだけお金があっても、適切な使い方を知らなければ、幸せにはなれません。
さみしいお金持ちにならないためにも、ぜひ読んでほしい一冊です。


最後まで読んでいただきありがとうございました!
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