お金に支配されず、使いこなすためにどのようにすればよいかがわかる良著です。
お金の使い方に関する良著には「幸せをお金で買う」5つの授業があります。
5つの授業の方がシンプル、本書の方がより詳細なお金を使い方に関する本です。
いずれも必読ですが、まずは5つの授業を読む方がとっつきやすいかもしれません。

著者プロフィール
・書籍名:アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?
・著者:モーガン・ハウセル
・出版月:2025/11/19
・出版社: ダイヤモンド社
ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー。
投資アドバイスメディア「モトリーフル」、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。
米国ビジネス編集者・ライター協会Best in Business賞を2度受賞、ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞。
妻、2人の子どもとシアトルに在住。
本の目次
第1章 十分な情報があれば、あらゆる行動は意味をなす
第2章 アテンション・プリーズ
第3章 収入<期待=不幸
第4章 見えざる真実
第5章 最も価値ある資産
第6章 あなたを幸せにするもの
第7章 金持ちと真に豊かな人の違い
第8章 「実用性」対「ステータス」
第9章 リスクと後悔
第10章 他人と自分を比べないための知恵
第11章 自分で選べない人生は、一種の貧困である
第12章 社会的負債
第13章 静かな複利
第14章 アイデンティティ
第15章 新しいお金の使い方を試す
第16章 お金と子ども
第17章 表計算シートは感情を気にしない
第18章 小さな支出との付き合い方
第19章 強欲と恐怖のライフサイクル
第20章 惨めになるお金の使い方
第21章 運に恵まれたら、優しくあれ
総合評価
S 人生が変わる神本
A 絶対に読んで
B 時間があれば読んで
C 強いて読まなくてもいい
D 時間の無駄
お金の使い方は普遍的な公式がある科学ではなく、答えのないアートであると本書では述べられています。
何にお金を使うことで幸福感を得られるかは人それぞれなので、自分自身で考えるしかありません。
一方で、共通する考えもあります。
本書の冒頭で書かれているエッセンスは以下のとおりであり、これらを様々な角度で解説してくれます。
1 お金には「より良い生活を送るための道具」としての側面と「他人との比較で自分のステータスを測るための物差し」としての側面がある。
2 お金は有効な道具だが、注意しないと簡単に支配されてしまう
3 お金を使って幸せになることはできるーただし、それは間接的な形をとることが多い
4 お金について考えすぎない人ほど幸せになれる
5 もっとお金があれば幸せになれるわけではない
6 お金の使い方に普遍的な公式はない
21章に分かれた各項目は、角度は様々ですがどれもお金に関する考えを考え直させられるものばかりです。
すべて読むのが大変な場合は、面白そうな項目だけ読んでも学びが得られると思います。
(たとえば子供がいる方は16章の「お金と子ども」を読めば、普段の子供との接し方や、子供への金銭の与え方について考えさせられます)
特に面白いのは20章の「惨めになるお金の使い方」。
読者1人1人に適したお金の使い方をアドバイスすることは困難ですが、惨めな人生につながるものは普遍的かつ単純な傾向があります。
お金を貯めてもそこから価値を引き出すことができなければ、ただのお金の奴隷です。
お金の使い方で後悔したくない人は必ず読んでほしい一冊です。
個別評価
新規性 ー 新しい情報があるか
今までに見たことがなく、人生を変える価値観を学べる
今までに見たことがないアイデア、見方を数多く学べる
今までに見たことがないアイデアがいくつかある
今までに見たことがない情報がいくつかあるが、役には立つものは少ない
目新しい情報はほとんどない
21章それぞれが様々な角度からお金に対する考え方を考えさせてくれます。
汎用性 ー 多くの人の役に立つか
すべての人の役に立つ
多くの人の役に立つ
ある対象の人に対して役に立つ
僅かだが役に立つ人がいる
ほぼ誰の役にも立たない
遺産相続などで”お金を稼ぐ必要のない人”はいるかもしれませんが、”お金を使わずに済む人”はいません。
後悔のないお金の使い方を知りたい人すべてに役に立つ一冊です。
わかりやすさ ー 理解しやすい工夫があるか
パッと見て内容を深く理解できる
普通に読めば内容を理解できる
集中して読めば内容を理解できる
何回も読まなければ内容を理解できない
意味不明
イラストは全くありません。
350ページで、読み終わるのに4時間程度かかりました。
海外訳本にありがちな、やや回りくどい表現がありますが、内容は理解しやすく読みやすいです。
実用性 ー 本を読んですぐに役に立つか
読んで即座に実行できるアイデアが数多くある
読んで即座に実行できるアイデアがいくつかある
即座に実行できるアイデアはないが、長期的にみれば役に立つ
確率は小さいが、人生のどこかで役に立つかもしれない
役に立たない
すぐに実行できるアイデアというよりは、お金の使い方に関するベースの考え方について学ぶ本です。
長期的にみて必ず役に立ちます。
印象に残ったポイント
経済的自立の15段階
0 他人の善意に完全に依存した経済状態。あなたの成功に利害を持たない見知らぬ人の親切に頼るしかない
1 あなたのことが好きで、あなたの成功が自らの評判にかかわる人たちに、経済的に完全に依存している
2 お金は多少稼いでいるが、まだ他人の支援に頼っている
3 世の中に価値を提供できているが、その価値はわずかで、簡単に代替されてしまう
4 日常的な小さな臨時の出費に対応できるだけの貯蓄がある
5 大きな臨時の出費に対応できるだけの貯蓄がある
6 ある程度の老後資金と教育費を備えている
7 ひどい職場や不要な面倒をさけて、仕事を選べる
8 社会的な地位に満足して、他人に見栄を張る必要性を感じない。
9 自動車ローン、学費ローン、住宅ローンなどのローンを抱えなくてよい
10 自分や家族の経済的状況がレベル5いかに戻ることはない
11 投資収益で生活費の大部分を賄える
12 投資収益によって平均寿命以上に生きた場合でも残りの人生の基本的な生活費を賄える
13 投資収益によって基本的な生活費を上回るお金を手にすることができる。自分や家族が望む生活を送りながら、慈善活動に寄付をする余裕もある。
14 他人の意見に左右されず、好きなことを言い、好きなことができる。誰かが反対しても気にせずにいられる
15 毎朝、目覚めるたびに、好きなことを、好きな人と、好きなだけできる時間があることを実感する。
惨めになるお金の使い方
1 もう少し上を追い求め続ける
2 自立ではなくステータスにお金を使う
3 お金(を稼ぎ、使い、貯めること)を自分のアイデンティティの中心にする
4 収入の大半を使いこむ
5 もっとお金があれば、あらゆる問題を解決できると空想する
6 お金は悪やエゴの源泉だと考える
7 極端な節約をし、自分の経済力に見合った豊かな暮らしを拒否する
8 成功はすべて自分の努力の賜物であり、失敗はすべて不運のせいだと思い込む
9 他人の表面的な部分だけを見て成功を羨む
10 ある買い物によって生じるコストを無視する
11 将来後悔するかもしれないということを考えない
12 純資産の額を自分や他人の価値と結びつける
13 お金に関する決断を、単なる数字の計算としてとらえる
14 他人のアドバイスやライフスタイルに振り回される
15 知っている中で、最も成功している人と同じ生活を夢見る
16 収入よりも早く期待を膨らませる
17 不要なものを手に入れるために、必要なものを危険にさらす
18 高級品を持っていると周りから注目を集められると思い込む
19 自分の考えを過信する
まとめ
お金を貯めたり、稼いだり、投資で増やしたりすることにはある程度の定石がありますが、お金の使い方は人それぞれで正解があります。
だからこそ世間の常識にとらわれず、自分で正解を見つける必要があります。
本書はそのコンパスになる本です。
本書でよく出てくる考えは、「お金は道具である」というものです。
お金は何かを得るための道具であるのに、いつのまにかお金自体が目的になったり、人のアイデンティティになってしまいます。
お金自体が目的になってしまったら、お金を使うのではなく、支配されているのと同義であると本書では述べられています。
「1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?」
本書を読んで、ぜひ考えてほしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
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