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【強いて読まなくてもいい】世界にひとつしかない「黄金の人生設計」  書評・レビュー

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」 C

不動産(持ち家・賃貸)、民間生命保険、公的保険(年金と健康保険)の仕組みと、それぞれをどのように利用すべきかが理解できる一冊です。
ただ、2003年に出版されたため、情報の古さは否めません。
非常に勉強になりますが、あえて読まなくてもよいと思います。

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この記事を書いている人
Shachiblo.com

著者プロフィール

・書籍名:世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
・著者:橘 玲
・出版月:2003/11/20
・出版社:講談社

1959年生まれ。早稲田大学卒業。編集者を経て、2002年、経済小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。小説、評論、投資術など幅広い分野で執筆。

本の目次

プロローグ ーー 何時、人生を前向きに語るなかれ


第1部 不動産は人生にとって本当に必要か?
STEP1 持ち家と賃貸はどっちが得?
STEP2 不動産の値段はどうやって決まる?
STEP3 世にも不思議な不動産市場

第2部 6歳の子どもでもわかる生命保険
STEP4 生命保険の仕組み
STEP5 不思議の国の保険会社
STEP6 DIYで保険ポートフォリオ

第3部 ニッポン国の運命
STEP7 年金と医療保険について考えてみよう
STEP8 やがて哀しき国民健保
STEP9 ニッポンという問題

第4部 自立した自由な人生に向けて
STEP10 人生設計の基礎知識
STEP11 「もうひとつの人生」を目指して

総合評価

人生プランを大きく左右する買い物である不動産と保険をどう選択すべきか、また、日本人として加入が義務付けられている公的保険(年金・健康保険)が今後どうなっていくのかを、仕組みとともに解説しています。

仕組みの解説については、「そんな視点はなかった!」と思わず膝を打ちたくなる内容が多くあります。
たとえば持ち家について、「家を買えば家賃を払わなくてよくなる」と考えるのは間違いで、不動産から得られる利益を家賃に充てているにすぎません。したがって、賃貸も持ち家も、資産運用上の優劣はないと述べられています(賃貸の人が、家を買う代わりにその資金を運用して家賃を払っているのと同じ、という考え方です)。

保険に関しては、宝くじと同じ仕組みであると説明されています。宝くじは当たれば嬉しいですが、保険の場合の「当選者」は、死亡していたり、病気になっていたりと、不幸な状態にあります。宝くじの仕組みを金儲けに使えばギャンブルとなり、リスクヘッジに使えば保険になるというわけです。

仕組みを解説した後は、「ではどうすればよいか」という筆者の考えが示されます。
不動産については賃貸を推奨しています。不動産は取得・保有・売却のすべてにおいてコストが高く、しかも資産価値が時間とともに減少するためです。
保険については、「基本的には加入しないこと」、どうしても必要な場合には「最低限の保険のみ加入すること」を勧めています。保険は非常に高コストな商品だからです(1997年の資料では、定期保険の保険料の半分が保険会社に抜かれているとされています)。

このように、「どうすればよいか」が具体的に説明されている点は、分かりやすく参考になりました。

気になった点

ただし、本書全体の結論部分については、少し「う〜ん」と感じる内容でした。
終盤では公的保険の仕組みについて説明されており、少子高齢化の進行や公的機関の腐敗を背景に、公的保険制度は今後悪化していくと述べられています。
その解決策の一つとして、筆者は「PT(Permanent Traveler=終身旅行者)」になることを提案しています。

PTとは、合法的に納税義務が発生しないように、半年や一年ごとに居住地を変え、税務上どこの国の「居住者」にも該当しないようにする生き方です。
PTになるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 海外で仕事に就き、その仕事が1年以上継続すると考えられること
  2. 外国籍、または日本以外の国の永住権を保有していること
  3. 国内に家族がいないこと
  4. 本人の職業や資産状況から、日本に戻ってこないと推定されること
  5. 家族もまた海外に居住していること

非常に興味深い考え方ではありますが、一般人には簡単に実行できるものではありません。

また、2003年発刊ということもあり、情報が古くなっている点も気になりました。
たとえば筆者は、「子どものいる夫婦は家を買うな」と主張しています。
理由は、子どもを中学から私立に通わせた場合、大学卒業までに1,500万円かかるため、不動産を購入すれば家計が赤字になるというものです。
しかし現在では、高校の無償化や児童手当の拡充により、負担は大きく軽減されています(詳しくは「手取り20万円の子育て家計」を参照してください)。

このように、特に公的保険に関する章では、現状とマッチしていない部分が散見されました。

総評

不動産や保険の「仕組み」の部分は今でも通用する知識であり、大変勉強になりますが、橘玲さんのファン以外には、強いて読まなくてもよい一冊と感じました。

個別評価

新規性 ー 新しい情報があるか

不動産・保険・公的保険の仕組みについて、橘玲さんらしい皮肉たっぷりの切り口で解説されており、「こういう見方があったのか」と学びが得られます。

汎用性 ー 多くの人の役に立つか

不動産・保険の仕組みは、多くの人が知っていて損はありません。

わかりやすさ ー 理解しやすい工夫があるか

イラストは少なく、内容もやや難解なため、集中して腰を据えて読む必要があります。

実用性 ー 本を読んですぐに役に立つか

即座に実行できるアイデアは少ないですが、不動産や保険の仕組みを理解することで、将来的により良い判断ができるようになります。

印象に残ったポイント

不動産の価値

取引事例比較法と収益還元法がある。
取引事例比較法 → 周辺の土地がいくらで売れたかを参考に不動産価値を導く。
収益還元法 → 将来得られる収益を現在価値に換算して求める。簡易的には年間収益 ÷ 利回り で求まる。
利回り5%で、家賃10万円のマンションなら、2400万円。
自分が住んでいるマンション価格を調べれば、家賃が妥当かも調べられる。

保険

保険は経費がかなり高い。(払った金額の多くが保険会社に取られる)
1997年の資料だが、保険料のうち保険会社の利益となる割合は
養老保険 → 21.6%
終身保険 → 28.7%
定期保険 → 48.2%

養老保険、終身保険、定期保険のなかでは、定期保険が圧倒的にぼったくり。

年金

国民年金は二階建て。
一階は定額部分(自営業者などが入る国民年金に相当)、二階は報酬比例部分。報酬比例部分があるのは、「手に職がある自営業者と違って、サラリーマンは退職したら収入がなくなってかわいそうだから余分に支給しよう」というもの。
ただし、余分に年金をもらう以上、余分に保険料も払う。
であれば、二階部分は払った人のために取り分けられるべきだが、一階・二階がごちゃ混ぜになっており、基礎年金(未納者が大量にいる)の埋め合わせに使われている。
厚生年金は、保険料を100%徴収できるのでどんどん改悪されていく。

年金の財源の提案

財源を消費税にすれば、未納者や第三号被保険者からも徴収できる。

シャチ
シャチ

面白い考え!

国家

民間企業の目的は利潤の拡大だが、国の目的は国民の幸福であり、成果を数値化できない。
企業は、利潤を最大化するためにコストを最小化しようとするが、国の目的は国民の幸福の最大化なので、コストを下げるメカニズムがない。
それどころかお金をつぎ込んで幸福を増大させようとする。(自己増殖性)

まとめ

公的保険は徐々に改悪されていくため、それらには頼らずに生活できるように、なるべく早く経済的独立を達成すべきだと、本書では述べられています。
今流行しているFIREムーブメントを20年も前に提案している橘玲さんの慧眼に驚くばかりです。
本書は強いて読まなくてもよいので、橘玲さんの他の良著をぜひ読んでほしいです。

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シャチ
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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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